研究
東アジアの潰瘍性大腸炎?クローン病に特徴的な遺伝子多型を解明 日?中?韓の1万人以上の解析から320か所の疾患感受性遺伝子が明らかに
潰瘍性大腸炎注3やクローン病注4といった炎症性腸疾患は、大腸および小腸の粘膜に慢性炎症?潰瘍が生じる原因不明の遺伝性疾患で、国の指定難病となっています。これまで、主に欧米で大規模な遺伝学的解析が行われてきましたが、アジア人には結果がそのまま当てはまらないこともありました。東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野の角田洋一講師および正宗淳教授らと、九州大学、国立国際医療研究センター、京都大学による日本の共同研究チームは、中国、韓国、そして米国の研究グループとの国際共同研究を通して、日本人を含む東アジア人の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病)に特徴的な80か所の感受性遺伝子を報告しました。さらに、欧米人も含めた解析で、320か所の感受性遺伝子を同定しました。本研究は、1万人を超える東アジア人の炎症性腸疾患患者の大規模な遺伝子解析を行った世界で初めての報告です。本研究成果は、日本人を含む東アジア人における炎症性腸疾患の発症リスク予測法や東アジア人に有用な治療薬の開発への貢献が期待されます。
本研究成果は、2023年5月8日午後4時(現地時間、日本時間5月9日午前0時)Nature Genetics誌(電子版)に掲載されました。
【用語説明】
注3.潰瘍性大腸炎:血便などで発症する原因不明の大腸炎で、国の指定難病です。若年で発症することが多いですが、比較的高齢で発症することがあります。長く炎症が持続すると大腸がんを合併するリスクが高くなるため、定期的な内視鏡検査などをしながら炎症をコントロールしていく必要があります。
注4.クローン病:主に小腸や大腸に原因不明の潰瘍などの炎症をきたす難治性の慢性腸炎で国の指定難病です。若年で発症することが多く、長期にわたって定期的な検査や治療が必要となります。
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