病棟 | 西病棟 8F?東病棟8F | 外来 | 外来診療棟C 2F |
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外来受付 | Tel : 022-717-7731 | 独自webサイト | 東北大学 消化器内科 |
対象疾患 | 胃がん/食道がん/十二指腸腫瘍/胃?十二指腸潰瘍/胃食道逆流症?逆流性食道炎/食道?胃静脈瘤/クローン病/潰瘍性大腸炎/大腸がん?大腸ポリープ/膵がん/胆管がん?胆のうがん/ lgG4関連疾患(自己免疫性膵炎?lgG4関連硬化性胆管炎)/急性膵炎/慢性膵炎/その他の膵臓?胆管?胆のう疾患/ウイルス性肝炎/自己免疫性肝疾患/代謝性肝疾患/代謝機能障害関連脂肪性肝疾患/肝硬変/肝細胞がん |
対象疾患と診療内容
消化器内科は上部消化管、下部消化管、肝臓、膵臓、胆嚢?胆道系の疾患を主に取り扱っています。
上部消化管疾患
胃がん
胃がんは日本人に多いがんの一つです。近年、胃がん検診や内視鏡技術の進歩により、早期発見?早期治療が進み、死亡者数は減少傾向にあります。それでもなお、日本人のがんによる死亡数?罹患数では上位に位置しています。当科では、内視鏡による診断、進行がんを含む治療前の精密検査、早期胃がんに対する内視鏡治療を行っています。
食道がん
食道がん(扁平上皮がん)は飲酒や喫煙などの生活習慣が発生に大きく関与するとされています。食道がん発生初期のうちは無症状で、検診や人間ドックの内視鏡検査で発見されることも多いとされています。当科では、内視鏡による診断、進行がんを含む治療前の精密検査、早期食道がんに対する内視鏡治療を行っています。また、逆流性食道炎の合併症として知られ、近年増加傾向にあるバレット食道腺がんについても、多くの症例に対して内視鏡治療を行っています。
十二指腸腫瘍
近年、内視鏡治療が難しいとされる十二指腸腫瘍(腺腫、腺がん、神経内分泌腫瘍など)が増加しています。当科では、より安全で確実な治療を行うための技術開発にも取り組みながら、内視鏡による治療を積極的に行っています。
胃?十二指腸潰瘍
胃?十二指腸潰瘍は、ヘリコバクター?ピロリ(ピロリ菌)や痛み止めなどの薬剤の内服により、胃酸分泌と粘膜防御機能のバランスが崩れることによって生じます。多くの場合、胃酸分泌抑制薬などの薬物療法で治癒します。また、ピロリ菌の除菌により潰瘍が再発する可能性を小さくすることができます。当科では、内視鏡による診断を行い、出血を伴う場合には内視鏡的止血術を行っています。また、ピロリ菌の除菌療法も積極的に行っており、二次除菌(保険診療で認められるのはここまで)失敗例に対しても対応しています。さらに、内視鏡検査時に採取した胃液を用いたPCR検査により、ピロリ菌の有無とクラリスロマイシン耐性を同時に判定できる新しい検査機器を導入しています。これにより、より確実で適切な除菌治療を選択できる体制を整えています。
胃食道逆流症?逆流性食道炎
胃酸を含む胃の内容物が食道へ逆流することによって、食道の粘膜に炎症が起こったり、胸やけ、吞酸(すっぱい液が上がってくる)などの症状がみられたりします。内視鏡検査で、びらんなどの粘膜傷害を認めるものを「逆流性食道炎」と呼びます。食生活の欧米化やピロリ菌感染者の減少に伴う胃酸分泌の増加などにより、胃食道逆流症(GERD)は増加傾向にあります。GERDの治療は、主に胃酸分泌抑制薬による薬物療法を行います。一方で、食道に粘膜傷害がないにもかかわらず、胸やけなどの症状が強い方もおられます。そのような場合には、24時間pHインピーダンスモニタリング検査や食道運動機能検査などを行い、酸の逆流や食道の動きの異常を詳しく評価します。その結果に基づいて、患者さん一人ひとりに適切な治療方針を検討しています。
食道?胃静脈瘤
食道や胃の静脈瘤は、肝硬変などによって門脈の血圧(門脈圧)が高くなることにより生じる病変です。出血を起こすと重篤な状態になることもあるため、注意が必要です。当科では、出血をきたした場合はもちろん、出血の危険性が高いと判断された場合にも、内視鏡を用いて治療(内視鏡的硬化療法またはは内視鏡的結紮術)を行っています。これらの治療により、止血および再出血予防を図ることが可能です。
その他の疾患
下部消化管疾患
クローン病
下痢や腹痛を主訴とする原因不明の炎症性腸疾患ですが、体重減少や難治性痔瘻などが初発症状となる場合もあり発症から診断までに時間がかかるケースが多いことが報告されています。小腸?大腸を中心とする消化管に炎症や潰瘍をきたし、更に腸管外症状として関節や皮膚などにも病変を認める場合があります。当院では小腸造影、バルーン内視鏡、カプセル内視鏡、腸管MRIなどの特殊検査も積極的に行っております。保険診療として行われる分子標的薬(抗TNFα抗体製剤、抗IL12/23抗体製剤、抗IL23抗体製剤、抗α4β7インテグリン抗体製剤、JAK阻害薬)、および各種治験にも積極的に関与しており、治療選択に難渋している場合の選択肢をご提案します。内科的治療として腸管狭窄例に対する内視鏡的バルーン拡張術も積極的に実施しており、手術が必要なケースは総合外科と連携しながら手術前後の内科治療を行っております。
潰瘍性大腸炎
血便や腹痛を主訴とし、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の炎症性腸疾患です。指定難病の中でも患者数が多い疾患として知られており、若年発症の割合が多く、小児専門施設と連携して成人移行(トランジション)にも取り組んでいます。一般的な治療は5ASA製剤、ステロイド、免疫調整剤などです。ステロイドが中止できないケースやステロイドが無効な場合に対する分子標的薬(抗TNFα抗体製剤、抗IL12/23抗体製剤、抗IL23抗体製剤、抗α4β7インテグリン抗体製剤、JAK阻害薬)の治療成績が豊富であり、複数の炎症性腸疾患学会専門医のカンファレンスの元治療方針を決定します。手術が考慮される重症例に関しても外科と連携し集学的な治療を実践しております。
大腸がん?大腸ポリープ
大腸がんは罹患率や死亡率が増加しているがんで、その背景には食生活の欧米化があると推測されています。良性の大腸ポリープが発育していく過程で大腸がんとなる事も報告されています。大腸がんは早期発見?早期治療が大変有効ながんであり、早期がんの一部は内視鏡による切除で根治が可能です。良性の大腸ポリープも、前癌病変という位置付けで内視鏡による切除が行われます。内視鏡による切除が難しい段階でも、手術により高い治療効果が望めます。特に潰瘍性大腸炎関連発癌に対する内視鏡治療は東北地方でも有数の治療症例を有しております。
膵臓?胆管?胆のう疾患
膵がん
膵がんは膵臓にできる悪性の腫瘍で、初期は症状が少なく発見が難しい病気です。進行すると皮膚や目が黄色くなったり(黄疸)、体重減少やお腹や背中の痛みなどの症状が現れます。当科では、早期の診断、正確な診断、黄疸などの治療のために内視鏡検査などを行っています。超音波内視鏡下穿刺吸引法を用いた正確な病理診断も行っています。治療は、外科や腫瘍内科、放射線治療科などと連携して手術や抗がん剤、放射線などを組み合わせて行います。
胆管がん?胆のうがん
胆管がん?胆のうがんは、胆管?胆のうにできる悪性の腫瘍です。初期は症状が少なく、進行すると皮膚や目が黄色くなったり(黄疸)、お腹の痛みや体重減少などの症状が現れます。当科では正確な診断や黄疸の治療のために内視鏡検査などを行っています。必要に応じて、胆管内に挿入可能な小型の胆道鏡を用いた検査や超音波内視鏡下の胆道ドレナージ術も行っています。治療は、外科的な手術が中心ですが、抗がん剤や放射線が併用されることもあります。
lgG4関連疾患(自己免疫性膵炎?lgG4関連硬化性胆管炎)
IgG4関連疾患は、血液検査でIgG4の値が高くなり、さまざまな臓器が腫れる原因不明の疾患です。膵臓?胆管に炎症が起こった場合、皮膚や目が黄色くなったり(黄疸)、お腹の痛みなどの症状が現れ、それぞれ1型自己免疫性膵炎?IgG4関連硬化性胆管炎と診断されます。診断にあたっては膵がんや胆管がんとの区別が重要です。診断や黄疸の治療のために内視鏡検査を行います。ステロイド治療によく反応しますが、症状が再燃することがあり継続した通院が大切です。
急性膵炎
急性膵炎は、膵臓に急に炎症が起こり、上腹部(みぞおち)の激しい痛みなどの症状を伴う病気です。重症化すると命に関わることもあるため、早めの受診が必要です。治療は入院で行い、点滴治療などにより膵臓を休ませながら痛みを抑えます。重症例では集中治療室と連携して全身管理を行います。また炎症により壊れた膵組織が細菌感染を引き起こすことがあり、その場合は内視鏡を使って感染した部分を取り除く治療も行っています。原因として飲酒や胆石が多く、再発予防には生活習慣の見直しも大切です。
慢性膵炎
慢性膵炎は、膵臓に炎症が続く病気で、膵臓の中に石(膵石)ができて、お腹や背中の痛みを繰り返します。急に悪化した場合には急性膵炎と同様に入院治療が必要になります。痛みに対しては内視鏡治療や外科的治療を行うことがあります。また痛みの原因となる膵石に対しては体の外から衝撃波を当てて破砕する、体外衝撃波結石破砕術も積極的に行っています。進行すると膵臓の働きが弱まり、消化がうまくいかず体重が減ったり(膵外分泌機能不全)、糖尿病になることもあり、膵消化酵素薬補充療法や糖尿病治療を行います。また膵癌のリスクも高いため継続した経過観察が必要です。
その他の膵臓?胆管?胆のう疾患
その他の良性の膵臓疾患、腫瘍性の膵臓疾患(膵管内乳頭粘液性腫瘍、神経内分泌腫瘍など)、良性の胆管?胆のう疾患(胆石症、胆のう?胆管炎、原発性硬化性胆管炎など)なども診療しています。
肝疾患
ウイルス性肝炎
日本では主にA型、B型、C型、E型があり、B型?C型肝炎は慢性化することがあります。B型肝炎の治療にはエンテカビルやテノホビルという核酸アナログ製剤による治療が中心になっています。C型肝炎に対しては、DAAというウイルスを高率に排除できる副作用の少ない内服薬により、多くの患者さんを治療できるようになりました。
自己免疫性肝疾患
自己免疫性の機序により慢性に経過する肝炎の総称で、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎などがあります。適切に治療しなければ早期に肝硬変、発がんへと至ります。内服治療でのコントロールが困難な場合は、肝移植を考慮すべき場合もあります。
代謝性肝疾患
ウィルソン病やヘモクロマトーシスなどの肝臓に金属沈着を生じる遺伝性疾患では、瀉血や薬物治療により金属を除去します。アミロイドーシスや糖原病などの希少疾患につきましては、他科や国内の専門施設と協力して治療にあたります。
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
肥満や糖尿病などの生活習慣病を伴う脂肪肝で、最近増加しています。お酒を飲んでいても、飲まなくても起こります。放置していると肝硬変や肝がんに至ります。治療の基本は栄養療法や運動療法による減量ですが、それでも改善が難しい場合は併発する生活習慣病への治療を強化することで脂肪肝の改善を目指します。
肝硬変
肝細胞がん
肝細胞がんのほとんどは慢性的な肝疾患のある患者さんに発生します。このため慢性肝炎や肝硬変がある場合、定期的に超音波検査やCT検査をして、早期発見することが重要です。治療としては手術のほか、内科治療として肝動脈塞栓療法やラジオ/マイクロ波焼灼療法、放射線治療、全身薬物治療、肝動注化学療法などがあります。
診療の特色
上部消化管疾患
胃?食道?十二指腸のがんや粘膜下腫瘍に対して拡大内視鏡や超音波内視鏡も用いて病変の広さと深さを詳細に診断し、内視鏡治療可能なものに対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などで治療を行っています。また、がんなどの病変がなくても胃もたれ、つかえ感、胸やけなどの症状がある患者さんには、必要に応じてpHインピーダンスモニタリング検査、食道運動機能検査などを行い病態を評価、最適な治療を提供しています。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
下部消化管疾患
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に対する最新の治療を行っています。難治例には生物学的製剤を用いた治療も多数行っています。拡大内視鏡などを用いた大腸腫瘍の詳細な観察ののち、粘膜切除術や粘膜下層切開剥離術による早期治療を行っています。
膵臓?胆管?胆のう疾患
膵腫瘍や胆道腫瘍の診断には、胃?十二指腸から超音波で観察する超音波内視鏡(EUS)や、胆管?膵管内から観察する管腔内超音波(IDUS)を用いて、小さな腫瘍や腫瘍の進展範囲を詳細に評価しています。さらに、超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)を併用することで、正確な病理診断に努めています。また、膵がんの発生初期に認められる限局性膵萎縮といった所見に着目し、膵がんの早期診断を目指しています。
重症急性膵炎に続発する感染性膵壊死に対しては、内視鏡による低侵襲治療を行っています。
慢性膵炎に対しては、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、内視鏡を用いた膵石除去術、膵管ステント留置術、のう胞ドレナージ術などを積極的に実施しています。さらに、膵炎の原因や病態の解明を目的として遺伝子解析も行うことが可能です。
内視鏡を用いた膵管の造影検査
肝疾患
肝疾患の正確な診断のために肝生検や血管造影検査を行っています。
ウイルス性肝炎をはじめとした慢性肝炎?肝硬変の治療に抗ウイルス剤の投与など最新の治療を行っています。
通常の超音波検査では描出の困難な肝細胞癌に対しては造影超音波検査やCT画像を同期させた超音波検査を行い、詳細に観察?治療を行っています。肝細胞癌の内科的治療として肝動脈塞栓療法、ラジオ波焼灼療法、持続動注化学療法、放射線照射に加え、免疫チェックポイント阻害剤を含めた最新の抗がん剤投与を行っています。
肝動脈化学塞栓療法(TACE)
年間症例数
(2024年度)
総入院患者数 | 1,728人 |
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上部消化管グループ | 327人 |
下部消化管グループ | 495人 |
膵臓グループ | 523人 |
肝臓グループ | 383人 |
上部消化管グループ
上部内視鏡検査 | 8,443件 |
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食道内視鏡的粘膜下層剥離術 | 99件 |
胃内視鏡的粘膜下層剥離術 | 123件 |
十二指腸内視鏡的粘膜下層剥離術 | 23件 |
食道?胃?十二指腸粘膜切除術 | 43件 |
胃?十二指腸ポリペクトミー
|
10件 |
内視鏡的上部消化管出血止血術
|
175件 |
内視鏡的硬化療法
|
37件 |
内視鏡的結紮術
|
18件 |
食道バルーン拡張術
|
252件 |
食道ステント留置術
|
4件 |
異物摘出術
|
31件 |
内視鏡的胃瘻造設術
|
106件 |
胃瘻交換術
|
139件 |
胃瘻抜去術 | 41件 |
下部消化管グループ
大腸内視鏡検査 | 2,351件 |
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小腸内視鏡検査 (バルーン式小腸内視鏡46件? カプセル内視鏡59件) |
105件 |
大腸内視鏡的粘膜下層剥離術 | 109件 |
大腸内視鏡的粘膜切除術 | 234件 |
内視鏡的下部消化管出血止血術 | 6件? |
膵臓グループ
内視鏡的逆行性胆道膵管造影検査 | 769件 |
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内視鏡的乳頭切開術 | 165件 |
膵超音波内視鏡検査 | 864件 |
膵超音波内視鏡下穿刺吸引生検 | 153件 |
内視鏡的膵壊死物質除去術 | 3件 |
体外衝撃波による膵石粉砕術 | 30件 |
肝臓グループ
経皮的ラジオ波焼灼療法 | 81件 |
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肝動脈化学塞栓療法 | 76件 |
エコー下肝生検 | 78件 |
新患、新入院患者数(2024年度)
新患数 | 1,104人 |
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新入院患者数 | 1,735人 |
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