東北関東大震災における東北大学病院の活動報告(2011.03.25)
まず初めに、この度の東北関東大震災に被災された方々、ご家族、関係者の方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
3月11日の地震発生直後から、東北大学病院は里見病院長を本部長とする災害対策本部を立ち上げ、自身の診療活動に加え、被災地の診療応援に幅広く対応してまいりました。ここに、3月25日時点でのこれまでの東北大学病院の活動をご報告申し上げます。
東北大学病院の診療について
東北大学病院は地震発生直後から、救急救命センターにてのべ1000人を超えるトリアージを行って参りました。仙台市内からの救急車を除く、気仙沼、石巻地区を中心とした他地域からの入院患者受け入れも200名を超えています。マスコミ報道にもありましたが、気仙沼市立病院から78名の透析患者を一期に受け入れ、数日間の透析を行った後、北海道の透析病院へ移送いたしました。今後は、化学療法、放射線治療、手術などが中断、あるいは延期された患者が急増することが予想され、東北大学病院はこれらの治療を行う高次機能病院としての従来の役割を果たさなければなりません。そのため、病院機能回復に全力を傾注し、3月16日から放射線治療、3月22日から外来、および化学療法を再開いたしました。手術についても現在従来の50%程度を行っており、4月からはフル稼働の予定となっています。
被災地域への医師派遣について
1.拠点病院への人的派遣
東北大学病院は宮城県で唯一の大学病院として被災地の医療を人的に支援することが重要な使命と考えています。被災地の医療支援として最優先されるのが、被災地の拠点病院への人的派遣です。これまでに、気仙沼市立病院、石巻赤十字病院、大崎市民病院、斎藤病院、県南中核病院に公用車を毎日定時運行し、医師、薬剤師を派遣しています。特に気仙沼市立病院、石巻赤十字病院には、マイクロバスを用意し連日10?15名の医師を派遣しています。
2.避難所への医療チーム派遣
東北大学病院では、石巻地区では石巻赤十字病院の災害対策本部、他の地区は区の担当課と連携し、3月15日から20日にかけて、医師、看護師、薬剤師がチームを組み、石巻地区、若林区、岩沼地区の避難所で巡回診療を行いました。この避難所応援医療スタッフの数は、述べ200人を数えます。また、中国体彩网、眼科、歯科、感染管理室は独自のチームを組み、石巻地区、気仙沼地区、岩沼地区を中心に巡回し、専門診療を行っています。
3.他大学からの医療チーム派遣
里見病院長からの応援要請に対し、これまでに北海道から九州まで全国の大学病院が医療チームの派遣に応じています。東北大学病院災害対策本部は、石巻赤十字病院災害対策本部、県の担当課と連携し、石巻地区を中心とした避難所にこれらのチームを派遣しています。急性期を過ぎ、今後は長期的に一つの拠点的な避難所で診療活動を行う医療チームが必要とされていますが、この診療活動についても複数の大学チームを派遣することになっています。
被災地域への物資、
医薬品提供について
東北大学病院自身においても、食料、医薬品、物資の不足が続いておりましたが、被災地のより深刻な状況を鑑み、石巻、気仙沼地区への医師派遣車両を用いて、積極的に拠点病院、避難所へ必要物品を提供いたしました。米、パンなどの食料品、経口、注射薬などの医薬品、手袋、マスク、消毒薬、衛生用品、粉ミルクなどの医療物資等々、提供した物品は多岐にわたっています。
放射線被曝者の対応について
東北大学病院では県の依頼を受け、福島県からの放射線被曝が疑われる方々の検査、および除染活動を行っています。この活動については放射線治療科医師、放射線技師が24時間体制で携わっており、これまでに延べ200人を超える対象者の検査を行いました。
また、被災地へ派遣した医師、各医局関連病院からの情報をもとに、各地区の医療、物資の供給状況をリアルタイムに把握し、県の担当課と情報を共有することで効率的な医療活動を行うことを心掛けて参りました。
今後も、刻一刻と、被災地の医療状況は変化していきます。東北大学病院は、これからも必要とされる医療のニーズに迅速に対応し、震災後医療に貢献していく所存です。関連各位におかれましては、今後ともご支援、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
文責:東北大学病院災害対策本部
張替 秀郎