尿一般検査室
尿検査室は臨床支援となる迅速なアドバイスサービスの提供を心掛け、尿検査を1日約450件、精液検査を週に約3件実施しています。
要員:検査技師3名(うち認定一般検査技師1名)で対応
《使用分析器》
尿化学分析装置 |
尿中有形成分分析装置 |
尿中成分撮像装置 |
尿自動分取装置 |
精液検査 |
Ⅰ.尿定性?沈渣検査
尿は腎臓で作られ膀胱にたまり、体外へと排出されます。
尿検査は非侵襲的な検査であり、腎?尿路系疾患の病態把握として広く行われています。
尿定性検査
尿中の化学的成分を試験紙法で測定し,腎機能や尿路系の疾患の有無を調べるスクリーニング検査です。 蛋白、ブドウ糖、潜血、ケトン体、ウロビリノゲン、ビリルビン、亜硝酸塩、白血球、pH、比重、クレアチニン、アルブミンを測定します。
尿沈渣検査
尿中に出現する細胞や結晶など有形成分の分類や同定により、腎?尿路系の炎症や損傷の程度を調べる検査です。
自動分析装置を用いて測定し、さらに詳しい検査が必要と判断した場合は、検査技師が顕微鏡で観察して報告を行います。
→赤血球、白血球、上皮細胞、各種円柱、結晶成分、細菌、真菌、原虫、寄生虫、異型細胞などの成分を標準法「尿沈渣検査法2010」に準じて分類します。
真菌
腫瘍細胞
円柱
Mulberry細胞
Fabry病で出現
《異常値を呈する主な疾患》
脱水、発熱、膀胱炎、各種糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病、腎不全、尿路感染症、尿路結石症、尿路腫瘍、溶血性疾患(PNHなど)、閉塞性黄疸、尿細管障害、 薬剤性腎障害、先天性代謝異常症、先天的脂質異常症、など
尿検査を受ける患者さんへ
1. 中央採血室の採血?採尿受付機で受付を行い、採尿カップを受け取ってください。
2. 採尿は外来A棟2階採尿トイレで行い、トイレ内の窓口へ提出してください。(採尿トイレまでは採血室から足元青色矢印を辿ってください。)
3. 尿カップへは内側の線25~75mLを目安に採尿してください
尿の出始めと最後を外して途中の尿を採取してください。
※生理中の方は、採尿トイレ窓口でお伝えください。
※採取尿量が不安な場合は、採尿トイレ窓口でお伝えください。
○尿容器に採取して持参する方へ(早朝尿の採取など)
1. 自宅で採取を実施しますが、尿の出始めと最後を外して途中の尿を採取して、なるべく早めに提出してください。
2. 尿の容器には、それぞれ名前を記入してください。
3. 来院時に採血?採尿受付機で受付を実施し、採尿カップに採尿容器(記名したもの)を立てて提出してください。
Ⅱ. 精液検査
避妊をせずに妊娠しない状態が1年以上続く場合を不妊症といいます。不妊は、女性だけでなく男性側の原因も存在することが明らかになっています。不妊症の原因を調べるためには、男女ともに検査を行う必要があります。
精液検査は、男性不妊症の有無を調べる検査であり、外観、pH、量、精子濃度、精子運動率、正常形態率を調べます。患者さんの体調?ストレスにより採取するごとに精液の状態が異なることがあるので、検査は2回以上行うことが望ましいとされています。
当検査室では予約検査になっており、当日中の結果報告に対応しています。
検査は精液採取から1時間以内に開始する必要があるので、できるだけ速やかに提出してください。
採血室
<中央採血室受付時間>
受付時間 月曜~金曜8:00~16:00(※上記時間以外、祝日は受付が出来ません)
<採血される患者さんへ>
- 採血前の食事や飲み物は主治医にご相談ください。
- 採血時に前腕を出し易い服装でご来院ください。
- 予約診察で診察前採血の方は、診察1時間半前までに受付してください。(診察時に担当医が検査結果を閲覧可能となります)
- 検査内容により採血順番が前後する場合があります。
- 以前、採血時に気分の悪くなったことのある方は申し出てください。
<受付から採決までのご案内>
1.採血自動受付で受付を実施
2.患者呼び出しモニタによる進捗を確認し、採血室内にある待合にてお待ちください。※混雑時は廊下待合でお待ちいただきます。
3.順番に採血台に受付番号が表示され、受付番号でお呼びします。
4.本人確認のため、患者さんご自身にお名前?生年月日を名乗っていただきます。
<採血室装備>
1.自動採血受付機 3台
2.患者呼び出しモニタ 4箇所
3.採血台 11台(混雑時には11台による採血を行う様に務めています)
4.採血管準備システム 2台
ラテックスアレルギーの方にも安心して採血を受けていただけますように、当採血室では手袋、駆血バンド等にはラテックスの成分が含まれていない製品を使用しております。
<採血時の痛み>
- 採血は注射針を刺す侵襲行為ですので多少の痛みは避けられません。
- 通常の場合、採血後の痛みは少しずつ緩和し長時間は持続しません。
- 採血中の指先の痺れや激痛は、直ぐに採血担当者に伝えてください。
<採血後の注意>
- 採血部位は圧迫止血(5分以上)して下さい。
- 血をサラサラにするお薬(ワーファリン、バイアスピリン等の抗血栓薬をお飲みの方)やその他出血しやすい方はお申し出ください。止血をしっかりいたします。
- 止血直後は採血した側の腕で重い荷物を持たないでください。
- 腕に力を入れると採血部位から再出血し、衣服に血液が付着する場合がありますのでご注意ください。
<採血に伴う合併症について>
採血は十分な知識に基き、安全性の高い手技で行う医療行為です。採血に伴う合併症の頻度は少なく、また軽度なものが多いとされています。しかしながら、極まれに以下に示しますような合併症による健康被害を生じることがあるとされています。
採血にはこのような合併症が伴うことをご理解下さい。
アレルギー
採血時に使用する消毒液やスタッフの手袋(ラテックス)などでかゆみや発疹などのアレルギー症状が出ることがあります。
- アルコール:採血室では非アルコール性消毒液をご用意しておりますので、過去にアレルギー症状がみられた方は採血担当者にお申し出下さい。
- ラテックス:採血室でスタッフが使用している手袋や駆血帯の素材にはラテックスは含まれておりませんのでご安心下さい。
止血困難?皮下血腫(青あざ)
採血後に血がなかなか止まりにくいことや、皮下出血(青あざ)ができてしまうことがあります。
穿刺後の止血が不十分な場合に起こります。
神経損傷
採血後も手指へ拡がるような強い痛みやしびれなどが持続することがあります。
採血者は採血時に神経を誤って刺さないよう最大限の注意を払っています。しかし神経と血管の位置関係は個人差が大きく、ごくまれにこれらの神経に針が触れてしまう場合(頻度:1万回~10万回に1回程度)があります。
症状の大部分は特別な治療をしなくても数日や数週間以内に改善すると言われています。
血管迷走神経反応
神経が興奮し急激に血圧が下がるため、めまい、気分不快感、意識消失などを引き起こすことがあります。心理的に緊張や不安が強いと起こりやすいとされています。
採血が初めての方、過去の採血でめまい、気分不快感、意識消失などを経験したことのある方は、必ず採血担当者にお申し出ください。ベットで行う採血に対応致します。
採血前、採血中、採血後にめまい、気分が悪いなど少しでも体調の変化を感じられた場合は、すぐにスタッフに申し出てください。早めに横になり安静にすることで早期の回復を図ることができます。
<採血室>
採血受付方法について知りたい方は画像をクリックください。
呼び出しモニタの説明を知りたい方は画像をクリックください。
車いすをご利用の患者さんの採血受付方法については以下のロゴをクリックしてください。
外注検査
外注?治験検査室では以下の業務を行っています。
- 外注検体の受付、前処理、委託業者への検体引き渡し、検査結果取込
- 外注検査に対する問い合わせ、要望への対応
- 新規外注検査項目導入に関する手続き処理
- 外注検査の検査方法、基準範囲変更時の対応
- 治験検体受付、処理、保管
- 時間外に提出される治験検体処理の宿日直者への対応
<外注検査>
臨床検査外部委託委員会で承認された約900項目を検査対象としており、1日約700件の検体を取り扱っています。
検査内容や提出方法など、臨床からの問い合わせも多く、検査に関する幅広い知識が求められる部署となっています。
委託先は検査精度及び結果の信頼性に関して、東北大学病院臨床検査外部委託委員会の審査基準を満たす業者を入札で決定しており、年間10~20項目の新規申請依頼に対応しています。
<治験検体処理>
1日あたり10~30件の治験検体処理を行っています。
処理方法が治験によって異なるため、技師が指示書を確認しながら対応しています。近年では国際共同治験や医師主導治験が増えており、1検体あたりの処理本数が増えるなど、治験処理がより煩雑となってきています。
処理された検体は24時間温度管理された治験専用の冷蔵庫、冷凍庫に保管しており、検体の品質確保を徹底しています。
生化学?免疫検査室
生化学?免疫検査室では、生化学検査(肝機能、腎機能、脂質、血糖など)、感染症検査、ホルモン検査など100項目以上の検査を行っています。これらの検査結果から患者さんの治療方針が決定されます。
生化学?免疫検査室では、自動分析装置を使用し、1日1000件以上の検体に対応しています。多くの分析装置を活用することで、診察前検査に対応できる体制を整えています。また、日々の精度管理を行うことで、検査結果の正確性を保っています。
検査は、患者さんの血液を遠心分離することから始まります。遠心分離をすることにより、上清に血清や血漿が分離され、生化学?免疫検査ではこの血清や血漿を用いて検査を行います。検査項目によって検査材料が異なるため、患者さんによって採血管の本数が変化します。
検査項目紹介
- 肝機能検査:AST、ALTなどがあります。これらは肝臓にある酵素で肝臓に障害のとき高値となることがあります。
- 腎機能検査:尿素窒素、クレアチニンなどがあります。これらは腎機能が低下したとき高値となることがあります。
- 脂質検査:総コレステロール、LDLコレステロールなどがあります。LDLコレステロールは高値になると動脈硬化を引き起こしやすいと言われています。
- 血糖検査:血糖やHbA1cの検査があり、糖尿病では高値となります。
- 感染症検査:肝炎ウイルス、その他ウイルスなどの存在を調べる検査です。肝炎ウイルスにはB型肝炎、C型肝炎などがあります
- ホルモン検査:体内に微量に存在するホルモンを調べる検査です。甲状腺ホルモンがよく知られています。甲状腺ホルモンは喉もとにある甲状腺から分泌されるホルモンで、新陳代謝に深く関わっています。
- 腫瘍マーカー検査:体内に存在する腫瘍マーカーを調べる検査です。診断や治療経過に用いられています。
血液検査室
<血球算定?血液像>
血液細胞は、主に骨髄から産生され分化?成熟を経て末梢血液中に動員されます。血液細胞は大きく分けて赤血球、白血球、血小板に分類されます。
赤血球
白血球
白血球は好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球に分類され、体内に侵入した細菌やウイルス、アレルギー物質により体で免疫反応が起こると、消化?分化、抗体産生などそれぞれの機能を発揮し体を守るようにはたらく細胞です。
血小板
血管が損傷した場合、その損傷部位に集まって粘着?凝集し出血を防ぐためにはたらく細胞です。
血小板が減少すると止血しにくくなります。血管の損傷とは無関係に血管内で固まり、血栓の原因になることもある細胞です。
血球算定は自動血球計数装置で測定され、白血球数、赤血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値を調べる検査です。貧血や炎症などをはじめ、あらゆる疾患のスクリーニング検査として行われます。炎症性疾患や感染症などの病態把握、化学療法などの治療によるモニタリング、また手術前検査としても行われます。
血液像は白血球分画(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)、血液細胞形態を調べる検査で多くは自動血球計数装置により測定されますが、装置では検出できない細胞形態の変化や異常細胞の検出、詳細な細胞分類は血液塗抹標本を作製し、顕微鏡下で細胞を観察します。当検査部には認定骨髄検査技師1名と認定血液検査技師4名が在籍しており、専門的な知識と目で検査することで重篤な疾患を一早く検出し治療へつなげるよう努めています。
<凝固?線溶系検査>
出血を止めるために血液が固まる(止血栓をつくる)働きを「凝固」、固まった止血栓を溶かし分解する働きを「線溶」といい、生体内では両者がバランスよく機能しています。これらの働きを測定する凝固?線溶系検査は、出血および血栓症の原因や病態把握、治療効果の判断やモニタリング、手術前検査などで行われます。
<骨髄像>
血液検査により血液疾患が疑われる場合に骨髄検査が行われます。骨髄は骨の中にあり、血液細胞のもとである造血幹細胞から種々の段階に分化?成熟した細胞がいる場所で、成熟した血液細胞は末梢血中に動員されます。骨髄を工場、末梢血を店と例えると、図のような生産と消費のバランスが保たれています。末梢血で細胞が必要になると骨髄での産生がアップします。骨髄で産生がダウンすると、末梢血の細胞は寿命とともに減少していき、血液細胞が少なくなります。また白血病など異常な細胞が骨髄で増加すると、正常な細胞が作られず血液中の細胞が減少し、異常な細胞が末梢血中に出現します。
骨髄と末梢血の関係
骨髄より採取した骨髄液から有核細胞数と骨髄巨核球数を算定し、また骨髄塗抹標本を作製します。作製した標本を顕微鏡下で観察し、造血の状態、末梢血中に供給される各細胞の成熟?分化、異常細胞の出現?増加の有無を検査します。白血病や各種貧血をはじめとする血液疾患や癌の骨髄転移などの診断、病期の決定、治療の効果判定においてとても重要な検査です。
骨髄塗抹標本 骨髄像
<細胞抗原検査(フローサイトメトリー)>
細胞抗原検査はフローサイトメーターを用いて検査します。血液細胞は、その細胞を特徴づける抗原を細胞膜表面または細胞質内に有しています。細胞にレーザーを照射することで生じる散乱光の情報と蛍光色素の付いたモノクローナル抗体を細胞抗原に反応させレーザーにより発光する蛍光強度の情報をもとに解析します。顕微鏡では判定の難しい詳細な細胞分類や異常細胞の特定に利用され、リンパ球サブセット検査や造血器腫瘍の診断に重要な検査です。当検査部では最大10色の蛍光抗体試薬を使用したマルチカラー解析を行っています。
遺伝子検査室
遺伝子は、からだに必要なたんぱく質を作るための『設計図』です。様々な研究により、この『設計図』の異常が、がんなどの原因のひとつであることが分かっています。遺伝子検査技術は、ヒトの細胞の遺伝子を増幅することで、高感度かつ特異的に目的遺伝子やその変異を検出することができます。
遺伝子検査室では、主に造血器腫瘍を対象とした遺伝子検査を行っています。
<遺伝子変異解析>
ヒトの1つの細胞には、約60億塩基対のDNA(遺伝子の種類)が存在しており、特定のがんでは遺伝子異常と深く関連することが分かっています。原因遺伝子を調べることで、病気の診断、予後推測、治療選択に役立てることができます。
微生物検査室
微生物検査は肺炎、下痢、敗血症など、感染症の原因菌を調べる検査です。
感染症が疑われる部位から採取された喀痰、尿、糞便などの検体を用いて検査を実施します。
また、感染管理室のICT(インフェクションコントロールチーム)メンバーの一員として、薬剤耐性菌の検出状況や院内環境を監視することで、院内感染対策を強化する役割も担っています。
<一般細菌塗抹顕微鏡検査>
患者さんから採取した検体で塗抹標本を作製し、Gram染色を行って顕微鏡下で観察します。
菌の染色性(青色?赤色)、形態(丸い?四角い?ブドウ状?連鎖状など)により菌種の推定が可能です。
迅速性に優れた検査です。
<一般培養?同定検査>
感染症の原因となる微生物を見つけるために寒天培地に検体を塗り、24~48時間培養を行います。
無菌検体や真菌など、目的とする病原菌の種類により培養条件や期間を変更して検査を実施します。
当院では質量分析装置を用いて細菌のタンパク成分を分析することで迅速な菌種同定を行っています。
<薬剤感受性検査>
培養?同定検査で感染症の原因菌が検出された場合、どの薬に効果があるかを調べる薬剤感受性検査を行います。
抗菌薬の存在下で微生物を培養し、発育状況をみて有効な薬剤を判定します。?
<迅速抗原検査>
専用の検査試薬を用いて感染症の原因微生物、ウイルスを簡易的かつ迅速に検出します。
培養に時間を要する細菌感染の診断、また培養では検出できないウイルス感染の診断の補助的な検査として用いられます。
<抗酸菌検査>
抗酸菌感染症の原因となる結核菌や非結核性抗酸菌を検出する検査です。
抗酸菌はチール?ネルゼン染色で赤く染まります。また、発育までに時間を要するため、迅速に結果が得られる遺伝子検査(PCR)も実施しています。
<中国体彩网PCR検査>
入院や緊急手術の患者さんに対してPCR検査を行うことで、他の患者さんや医療従事者に感染が拡大するのを未然に防ぎます。
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