大学病院の使命を果たし社会からの期待に応えていきます。
この春、かねてから整備を進めていた「先進医療棟」が完成しました。より低侵襲で体に優しい医療、より高度で最先端の医療、より質の高い安全な医療、この3つの実現を大きなコンセプトとした診療棟です。免震構造の建物に、世界最高水準の医療機器を導入し、手術室、ICU、高度救命救急センター、病理部、材料部などの中央診療機能を一つの建物に集約し効率化を図りました。
完成に至るまでには多くの時間と労力を費やしました。関連診療科や関連部署、医師や看護師、放射線技師など多職種が日々の診療業務と並行して、配置や設備の検討を重ねてきました。また移転にあたっては、海野倫明病院長特別補佐をグループ長としたワーキンググループを立ち上げ、安全に滞りなく移行できる体制を整えました。限られた予算と人員の中で、まさに病院一丸となって考えたアイディアと思いが詰まった診療棟になったと考えています。
東日本大震災当時、当院では建物の倒壊などの大きな被害はなかったものの、中央診療機能は大きなダメージを受けました。手術で使用した器具を洗浄?滅菌する装置が停止し、山形大学医学部付属病院まで運んで洗浄?滅菌し、また当院に戻す、という対応に迫られたのです。このような経験からも、先進医療棟の完成は待ち望んだものであり、災害時の医療も見据え、免震構造はもとより、インフラ設備を強化したことも大きな特徴になっています。
さらに今回、宮城県初の第一種感染症病室を設置しました。国際交流が盛んとなり、またオリンピックの開催も目前に迫るなかで設置できたことは、地域にとって大きな安心につながると考えています。万が一の事態にも適切に対応できるように、診療にあたる医師、看護師、検査技師は、一年以上前から、防護服の安全な脱着や、血液処理などの訓練を続けています。
超高齢社会を迎え、国の施策としても、各病院が役割分担をして地域全体が一つの病院として機能していくことが求められています。当院は今後、これまで以上に高度医療に重点をおくことになります。この先進医療棟を当院の使命の象徴の一つとして、社会からの期待に応え、地域から信頼される病院であり続けたいと考えています。