曲名「Another Sky」だけで実際にメロディーを想い浮かべることができる人は少ないかもしれません。でもANAの機内で流れている曲と聞けば何となく、あるいは口ずさめるほど明確に分かってもらえる人も多いのではないかと思います。ANA グループのイメージサウンドで、2002年にANA創立50周年記念として葉加瀬太郎が作曲していますが、とても好きな曲です。CDで最後まで聞くことをお勧めします。徐々に上がっていくバイオリン、アコースティックとデジタルが絶妙に融合して、これからのフライトに心を躍らせつつ爽やかに空に飛び立っていく情景とマッチした旋律がいいんですね。国内線、国際線ともに流れていますが、国内線の機内では、搭乗のあわただしさ、降りてからのスケジュールのこともあり、ゆっくり聞くことはあまりできません。一方で、一番心に響くのが日本への帰国便で、この曲が流れると、私の中では海外での軽い緊張から解放され、日本に戻ってくる安心を実感するものになっています。
COVID-19感染症により、この2年近く飛行機に乗ることがありませんでした。搭乗のたびに聞きなれていたこの曲をずっと耳にしていませんでしたが、ランダム再生された自室のオーデイオから美しいこの曲が流れてきたときには、一種のノスタルジーなのか、みんなが屈託もなく飛行機に乗って旅行、出張していた平和な時代がどこに行ってしまったんだろうとの思いがこみ上げて、ちょっと涙ぐんでしまいました。
先日、ほんとうに久しぶりに乗った機内でも変わらずこの曲が流れていました。まだまだ感染終息が見えない状況ではありますが、この曲の未来へ進んでいくイメージは、苦戦を強いられている航空業界も含め、今後の社会全体に勇気を与えてくれるものと感じました。早くもとの日常が戻ることを祈っています。